子どもの友達関係に過度に干渉する保護者は、子どもの自主性や健全な成長に悪影響を及ぼすことがあります。この記事では、過干渉な保護者の特徴とその影響について詳しく解説し、保護者がどのように子どもの友達関係を健全に保つべきか、具体的なアドバイスを提供します。子どもが安心して友達と過ごせる環境を整えるための5つのポイントをご紹介します。
子どもの友達関係に過干渉な保護者の特徴
子どもの友達関係に過干渉になってしまう保護者の行動は、意図せずとも子どもに大きな影響を与えます。以下に、過干渉な保護者の典型的な行動パターンを挙げ、その影響について詳しく説明します。これを理解することで、保護者としてどのように振る舞うべきか、重要なヒントを得ることができるでしょう。
1. 友達に対する口出しと決めつけ
過干渉な保護者は、自身の価値基準を疑いもなく物差しとし、子どもの友達について否定的な意見を押し付けがちです。
例えば、「あの子は悪口ばかり言うから嫌い」「ゲームする子はバカ」などと決めつけます。また、「あの子はいい子だから付き合ったほうがいい」「あの子は変な子だから離れたほうがいい」などと力説します。
保護者はいいことをしていると思い込んでいるかもしれませんが、パワーバランス的には押し付けに過ぎません。子ども自身が考える前に言うと、考える機会を奪います。子どもの友達付き合いを変えようとして言うなら、子ども自身の判断を無視してしまいます。
子どもがその子のことをどう考えるか、子ども自身がどう感じているか、確認しなくてよいのでしょうか? もちろん保護者の判断やフィードバックも重要です。しかし、保護者目線のみでの決めつけや押し付けは、子ども自身の選択の幅を狭め、友達関係に悪影響を及ぼします。
決めつけや押し付けが及ぼす最も深刻な悪影響は、子ども自身が自分で考えて自分の判断で行動する機会や、そもそもそうすることが必要だという認識の発達を阻害する、ということです。良かれと思った保護者の言動は、子どもが自分とじっくり向き合う時間を阻害します。子どもが自分で出した結論に従って行動してみる機会を奪います。そして、子どもが自分の意志で行動した結果を振り返る機会をも奪うのです。
2. 友達の親を基準にする
「保護者が変だから子どもも変」「保護者がまともだから、この子は大丈夫」などと、保護者の評判をもとに子どもの友達関係を判断することもあります。
子は親の鏡、という言葉があるとおり、確かに親子の個性に関連はあると思います。しかし、その子という本人を知らず短絡的に決めつけてよいのでしょうか?
(保護者が感じた)相手の保護者の人となりに基づいて友達を決めるという考え方は、子どもの個性や友達関係についての本質を見失わせる原因になります。
3. 自分の価値観や過去の経験を押し付ける
「これはこうすべきだ、だからこうしたほうがいい」「自分はこうだった、自分はこうした、だからこうしろ」という論調で、保護者の価値観や経験を子どもに押し付けるのも過干渉な保護者の特徴です。子どもはそれぞれ異なる個性を持っているため、保護者の過去の経験が必ずしも当てはまるわけではありません。押し付けられた「判断基準」と、本来の自分から出てくる「判断基準」にギャップがあり、それが大きかったり矛盾があると、どちらを選べばいいのか悩み追い詰められます。
「〇〇したら?それか△△すれば?」「〇〇って言っていいなよ。それか△△って言えば?」など、セリフレベルで一挙手一投足を押し付け続ける保護者もいます。自分で考える隙もなく保護者の考えを注入し続けると、次第に子どもは自分で考えなくなり、保護者の与えた選択肢から言動を選ぶようになります。うまくいかないとき、自分の中でどうすればよかったか振り返るのではなく、保護者と自分とのギャップにフォーカスして悩むようになります。振り返りと言う心の成長の機会が失われ、自身で対処できる応用力が育たなくなってしまうのです。
押し付けが常態化すると、子どもは自分で考えるより前に、どうすればよいか安易に保護者に聞くようになります。考えずに「答え」を求めるようになり、「答え」を提供するひとに頼るようになります。保護者が「頼られている」「いいことをしている」と思い込んでこの状況を良しとし、さらに保護者が「こうしたらいいでしょ」「こうすべき」という接し方を繰り返すことで、この歪な関係が定着します。子どもは「答え」をもらうことに慣れると、「答え」をくれない人を軽視することもあります。
自分で判断する訓練を積まずに大人になる恐れがあります。大人は、子どもよりも高度な判断が求められます。自分では判断できず、事あるごとに保護者に意見(答え)を求めてくる大人になるかもしれません。
4. 過度な確認と非難
過干渉な保護者は、子どもが友達と過ごす際にその行動を過度に確認し、思い通りでないと非難します。「本当にその友達と遊んだのか」「言った通りにしたのか」と確認し、少しでも保護者の期待から外れると怒り出します。「こう言ったのか」という確認と共に、選択の余地がなく追い詰めるような態度は、子どもに大きなストレスを与えます。この態度を繰り返すと、怒られることを避けるため、子どもは保護者の言われたとおりにするようになり、自分で考えることを重視しなくなります。
「どう思う?」「(友達に)どう答える?」などと質問し、考えるよう促すことは非常に重要です。しかし、子どもの答えが保護者の意見と異なるとき、保護者がすぐ怒り出したり否定して説教することを繰り返すと、子どもは保護者の考えを「正解」扱いしはじめ、次第に「正解」を求めて思考停止します。
子どもが悩み落ち込むと、「なんでそんなことで悩むのか」と責めたり、「そんなことで悩む必要はない」と正論で鼓舞したり、「そういうところがダメだ」と追い打ちをかける保護者もいます。保護者はいいことを言っているつもりですが、言われる方はストレスです。保護者の言葉は現状を述べているにすぎず、解決にもつながりません。子どもの自己肯定感を低くする結果を生むだけです。周囲が言葉をかけても「割り込んでくるな」などと攻撃する場合もあります。保護者自身がいっぱいいっぱいになると「いつまでも悩んでいいかげんにしろ」「迷惑だ」などと怒り散らし、子どもや周囲をさらに責めるケースもあります。
健全な友達関係を築くための5つのポイント
子どもの友達関係を健全に保つための具体的な方法を知りたいと思いませんか?ここでは、保護者が意識すべき5つのポイントを詳しく解説します。これを実践することで、子どもは自信を持って友達と関わり、楽しい時間を過ごすことができるようになります。ぜひ、次のポイントをチェックしてみてください。
1. 子どもの意見を尊重する
子ども自身が楽しいと感じる友達関係を尊重しましょう。保護者が口を出す前に、まずは子どもがどのように考え感じているのか、しっかりと話を聞くことが大切です。
子ども自身が、自分がどう考えているのか、どういう気持ちなのかを理解し、その考えや気持ちを自身が理解することで、「自分軸」で行動できるようになります。
保護者の意見を押し付けるのではなく、子どもが自分で考え、判断できるようサポートしましょう。友達関係についても、子どもが自分で選び、自分で解決する力を養うことが重要です。
2. 「答え」でなく「ヒント」を提供する
子どもより人生経験が長い保護者は、つい「そういうときは、こうしたら?」「ああ言われたら、こういえば?」などと、自分なりの「答え」を口にしがちです。しかし、安易に「答え」を提供すると、子どもが自分で考えるという重要な機会を奪ったり、そもそも自分で考えることに無自覚になったりします。
例えば、子どもの話を聞いた後に「その時に、どういう気持ちになったのかな?」「どうしてそう考えたのかな?」「相手はどう考えたと思う?」と促すなど、詰まっている子どもの理解や考えを進め、道筋を一緒に発見するサポート役として伴走しましょう。
3. 自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態にする
日頃から子どもとのコミュニケーションを大切にし、友達関係についてもオープンに話せる環境を作りましょう。保護者が押し付けたり、言う通りに考えないと怒り出したりするのではなく、子どもが自由に話せるようにすることで、信頼関係が築けます。
自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態にすることで、子どもが自分の考えや思いついたアイディアを率直に発言できるようになります。これにより、自分自身の気づきを促したり、保護者からも率直にフィードバックできるようになります。
子どもの語彙力は発達中のため、うまく説明できないこともあります。そんな時、保護者が遮ったり咎めたり、先回りして口を挟むのではなく、子ども自身のペースと言葉で話せるようにし、子どもの考えや気持ちを引き出せるようサポートすることが大切です。
4. フィードバックをする
フィードバックは未来に向けたメッセージです。過去や現在の言動を褒めたり叱ったりするだけではなく、未来にフォーカスして今後どうするのが子どもにとって良いのか、考えさせたりヒントを提供するのがフィードバックです。フィードバックにより、子どもは自信を持っての自己肯定感を保持し、健全な友達関係を築く力をつけるでしょう。
5. 命に関わる問題には介入する
友達関係がいじめや暴力に発展している場合は、保護者がしっかりと介入し、対処する必要があります。しかし、日常的な友達との関係については、子ども自身の判断を尊重することが基本です。
まとめ
保護者が子どもの友達関係に過度に干渉することで、子どもは自己判断力を失い、友達関係が歪んでしまうことがあります。この記事で紹介した5つのポイントを実践することで、子どもが安心して友達と過ごせる環境を整えましょう。子どもの友達関係を健全に保つことは、子どもの成長にとって非常に重要です。ぜひ、保護者としての役割を見直し、子どもが自分で友達を選び、楽しい時間を過ごせるようサポートしてあげてください。