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「おられる」の違和感と市民権

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「おられる」という表現を耳にしたり目にする機会が年々増えています。報道や書籍をはじめ、最近はNHK大河ドラマの台詞にも出てきました。

「おられる」は二重敬語?

子供の頃はときどき政治家が言うのを耳にしたくらいでした。予備校かどこかで、『「おられる」=「いる」の謙譲語「おる」+尊敬語化する「れる」、つまり二重敬語となるので誤り。「いらっしゃる」が正しい。』と強調された記憶があり、そのためか「おられる」は相反するものが同居する気持ち悪さがあります。私自身も「いらっしゃる」がしっくりくるので「おられる」を使うことはないです。

「おられる」は誤りとも限らない?

ただ、面白いので少し気になって調べてみました。すると『「おられる」は誤り』の一択ではないようです。「おる」を「謙譲語」と解釈するか「一般動詞」と解釈するかで感じ方が分かれるようです。(「おる」が関西地方のものだとする説は、「おられる」を標準語として使用する前提であれば少し成り立たない気がしますが、この説明も複数箇所で見かけました。)また「おられる」ひとまとまりで敬語とする解釈もあるようです。

文化庁も許容傾向

だいぶ古いですが、平成9年度の文化庁の調査結果では「一般的にかなり使われていて,一概に誤用だとは言えない」としています。
www.bunka.go.jp

違和感を持つ日本人は3割

平成10年度、16年度の調査結果では「おられる」という言葉については約3割程度の人が違和感を持っているとしています。この後の調査結果は見つかりませんが、年々違和感が軽減されてきているのかもしれません。
www.bunka.go.jp
www.bunka.go.jp

正しいとする辞書もある

Webの辞書では正しい表現として紹介しているケースもあります。
www.weblio.jp

「おります」とは関係がなさそう

「いる」の丁寧語は「おります」なので、そのへんも関係あるのかと思ったのですが、特に関係性は見つかりませんでした。

参考文献

他、まとめ記事を参照させて頂きました。感謝です。
www.nhk.or.jp
upwrite.jp

その他(1): 読み方の変化

言葉で思い出しましたが、「生殺与奪」という言葉を子供の頃「せいさいよだつ、が正しく、せいさつよだつは間違い」とかなり強調されて学校かどこかで習った記憶があるのですが、今は「せいさいよだつ」などという読み方の痕跡すらなく「せいさつよだつ」の一択です。同じ境遇の人を2人だけネットで見かけました。

「相殺(そうさい)」も似ていますが、こちらは近年「そうさつ」でもいいことになりつつあるようです。

その他(2): 書き順の変化

関連して、漢字の書き順について、子供の頃に習った書き順と異なるものにいくつか出会っています。子供の漢字ドリルの勉強をサポートしていたときです。例えば「馬」という漢字ですが、私は「横、縦、横、...」と習ったのですが今は「縦、横、横、...」と、1つめと2つめが逆になっています。これも私の記憶違いの可能性もありますが・・・。

その他(3): 言葉は変化するもの

言葉はどんどん変化するものなので、誤りではなくなってきているものや、市民権を得て正しい表現となるケースもあります。(昔で言えば、世論(せろん)⇒よろんも正しい、とか、近年だと重複(ちょうふく)⇒じゅうふくも正しい、とか)
言葉に限らずですが、世の中にアンテナを張って、自分をアップデートし続けることは続けていきたいです(面白いし)。