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火加減とタイミングだけで簡単に料理をおいしくするには?

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手間をかけずにスキルも使わず、火加減とタイミングに気をつけるだけで美味しくできる工夫をご紹介します。
知っている人には常識かもしれませんので、「工夫」というのも少しおこがましいですが、もし初見のものがあれば非常に簡単なので是非、試してみてください!

1. 味噌汁は沸騰させない!

味噌汁
「味噌汁を沸騰させない」のは、鉄則中の鉄則です。
「味噌汁を沸騰させるとまずくなる」というのは、昔からかなり有名な話ですが、近年、以外と知らない方々を見聞きします。
そのため、ご紹介しようと思います。

1-1. 火を止めるタイミングは「煮えばな」

味噌を溶き入れたあと、火を止めるベストなタイミングは「味噌汁の表面がグラッとなった瞬間」です。
この瞬間は「煮えばな」と呼ばれ、煮える少し手前の状態です。
「味噌は煮えばな」と私は覚えています。

1-2. 沸騰させてはいけない理由

味噌を入れてから沸騰させることで、次の5つの現象(デメリット)が発生します。

  • (1) 味噌の香りがなくなる
    味噌の良い香りは、発酵や熟成の過程で発生するアルコール分だといわれています。
    このアルコールは90度以上になると揮発して消失すると言われています。
    そのため100度で煮沸すると、アルコールに由来するお味噌の良い香りが飛んで消えます。
  • (2) 味噌の旨み成分が壊れる
    味噌の旨み成分は、大豆由来のタンパク質です。
    このタンパク質は、加熱してから65度までの間は出汁に溶け出し、味噌汁の味に深みを与えます。
    しかし65度以上になるとタンパク質が分解され、味が変わってしまいます。
  • (3) 味噌に含まれる乳酸菌や酵素が減る
    味噌には身体に良い乳酸菌と酵素が含まれます。
    乳酸菌と酵素はどちらも熱に弱いです。
  • (4) 味噌汁の舌触りが悪くなる
    煮沸を続けると、味噌に含まれる非水溶性の成分(大豆や米粒)と水溶性の成分が分離し、ザラついた感じになってしまいます。
  • (5) 味噌汁が濃くなる
    煮沸を続けた場合、水分が減って味が濃くなる(いわゆる「煮詰まる」)ため、狙った味とは変わるはずです。

理屈では上述のとおりなのですが、実際にやってしまうと一発でわかるレベルで変わりますので、実用上は説明不要かもしれません。
理屈はともあれ、とにかく「味噌汁は沸騰させない」と意識するだけで、芳醇な香りと旨みを楽しめると思います。

ご参考
「(1) 味噌の香りがなくなる」については、いくつか論文が出ています。
例えば次の論文です。
菅原悦子, 保坂由貴子: 加熱による味噌汁の香気成分の変化, 日本家政学会誌, 60, 453-459 (2009)
味噌の香気成分に着目して沸騰後の香気変化を分析しています。15分の定温加熱では80度以上で香りがかなり消失。30分の定温加熱では、香気成分の主役である3-メチル-1-ブタノールが99.3%現象、HEMFも61.8%減少したそうです。2種の赤系辛みそで15分や30分沸騰させるという条件での分析なので、現実的な調理の条件とは異なると思いますが、興味深い結果だと思います。また、香気のほか、味の変化についても分析しています。
ご参考
味噌汁を沸騰させることのデメリットとその理由(上述の5点と同じ)について、より詳しい記事を見つけたでリンクします。
chisou-media.jp
こちらには、盛り付けると10度ほど下がることや、最適な温度(75度)、酵素や乳酸菌を活かすなら50度がよいこと、なども説明されています。
ご参考
味噌の種類や旨味成分、味噌汁を作る手順など、味噌と味噌汁について愛ある詳しい説明があるサイトを見つけたので、リンクします。
味噌 | 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター

2. チャーハンの卵は油とよく混ぜるとふっくら!

チャーハン

2-1. 作り方

私の場合、

  • 加熱前のフライパンにキャノーラ油と卵を入れ、ヘラでよく混ぜ合わせる
  • 加熱しながらごはんを投入し、卵をからめながら、ごはんをほぐして炒める
  • 調味料を入れて炒め合せる

といった簡易ステップで作っています。

このとき、1つ目の「油と卵をよく混ぜる」のが、ひとつのポイントです。
泡立てるように空気も含ませながら、油と卵を混ぜ合わせることで、チャーハンの卵がふっくらします。

また、2つ目の「ごはんをほぐす」とき、炊き立てでない場合は塊になっていて簡単にはほぐれません。
そのときは、塊をヘラの腹で押しつぶすように力を加えると、効率よく着実にほぐれます。

2-2. 以前の方法(ご参考)

以前は「卵とごはんを混ぜてから炒める」という方法で作っていた時期もありました。
かなり有名な方法なので、聞いたことのある方もいると思います。

しかしこの方法はやめました。
やめた経緯は、

  • 卵がごはんをコーティングするため、ご飯がバラけやすいというメリットはある
  • しかし卵が薄膜となるため、卵の存在感がなくなる

というものです。

後者の味が好みではなく、自然とやめました。
また前者は、特にご飯に卵を混ぜなくても、ヘラで押しつぶしながら混ぜ炒めればダマになることはないので、特にメリットではなくなりました。

3. ごま油は最後に入れて香りを残す!

ごま油

3-1. ごま油は熱に弱い

ごま油は加熱を続けると香りが飛んでしまいます。
そのため、風味を活かしたい場合は、最後に入れるのがオススメです。

3-2. 食用油と熱の関係

油には、「熱に強い油」と「熱に弱い油」があります。
後者を加熱すると、酸化など変質し、風味が変わったり栄養素が壊れたりします。

主な食用油と熱への強さは次のとおりです。

  • 熱に強い油(主に「オメガ9」系)
    • 菜種油(キャノーラ油など)
    • オリーブオイル(ピュア)
    • 米油
  • 熱に弱い油(主に「オメガ6」(オメガ3」系)
    • オリーブオイル(エクストラバージン)
      ピュア(約220度で沸騰)より不純物が多いため170度ほどで沸騰し、沸騰すると苦味が増します
    • サラダ油
      加熱すると酸化しやすく、酸化すると油っこさが増したり風味が落ちます
    • ごま油
      上述の酸化の影響に加え、加熱すると香りが飛びます
    • 亜麻仁油
      動脈硬化などに効果のある成分「オメガ3」が加熱で壊れます
    • えごま油
      同上

4. 玉子スープの卵は軽く沸騰した後に入れるとふわふわに!

玉子スープ
玉子スープを作るとき、溶き卵を熱湯に入れますよね。
この入れるタイミングは、出汁を軽く沸騰させた後がオススメです。

4-1. 作り方

私の場合、鶏ガラを出汁にします。
鶏ガラは「沸騰させる」やり方と、「沸騰させない」やり方があります。
私は旨味が増す前者が好みです。
ただしグツグツ似てしまうと味が変わってしまうので、軽く沸騰させるようにしています。
または、菜箸で出汁を混ぜながら煮沸しないように沸騰させています。
沸騰までに溶き卵を用意しておき、沸騰したらすぐに溶き卵を回し入れます。

なお、豆知識ですが「玉子」は調理済、「卵」は食材を表します。

まとめ

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手間もスキルも不要で、単純にタイミングや火加減に気をつけるだけで料理が美味しくなる工夫をまとめました。

  • 味噌汁は沸騰させない
  • チャーハンの卵は油とよく混ぜるとふっくらする
  • ごま油は最後に入れて香りを残す
  • 玉子スープの卵は軽く沸騰した後に入れるとふわふわになる

あなたの料理の美味しさに役立つと嬉しいです!